疑問・問題を解消し、より進展させるための相談会
アスカカンパニーでは2021年から2か月ごとに、兵庫県立大学の日浦教授をお招きして技術相談会を継続して開催しています。
技術相談会は、デジタル化が進む社内において、自分達だけでは解決が難しい技術的な課題や疑問などが発生しており、それらの解消と人材の育成を目的としています。
本ブログでは2023年3月に開催した相談会の内容の一部をご紹介します。
相談会の進め方
事前に各人がテーマを持ちより、そのテーマに対して30分という枠組みの中で話し合うという形をとっています。
まず、相談者が問題や課題といった相談したい内容をプレゼン形式で教授へお伝えします。
その後日浦教授との質疑応答の中で、的確なアプローチ方法や検証方法、または考え方のヒントとなる情報等をご助言いだくという流れになります。
今回のテーマ一覧
テーマ | 担当者 |
DXを活用した経理業務の効率化について | ファイナンス室 Aさん |
3S推進活動の促進について (※3S推進活動:全社員参加の社内3Sの推進と維持管理の活動) |
金型保守グループ Oさん |
NEXIV測定における照明の設定について (※NEXIV:ニコン社製の画像測定システム) |
KPLセンター Sさん |
シャワースパウトの日常管理方法について | PMグループ Tさん |
インモールドラベルの反り問題について | 東北工場製造課 Uさん |
実際の相談内容のご紹介
5つのテーマの中から「NEXIV測定における照明の設定について」の相談内容をご紹介いたします。
NEXIVとは(ニコン社HPより)
NEXIVとは、ニコン独自の光学技術と画像処理技術を用いて、電子、半導体部品などの寸法を自動で測定する画像測定システムです。取得した画像を解析し、エッジを高速で正確に検出することにより、複雑な形状の被検物も素早く測定することが可能となります
相談内容の詳細
現在の状態
NEXIV活用による連続測定を目指す中で、現状は照明の設定を手探りでトライアンドエラーを重ねながら安定した測定データがとれるプログラムの作成に注力している
照明の設定方法について、基礎となる土台(設定指標)などを作ることで今後のプログラム化をスムーズに進めたい!
相談内容1
キャップ製品の最外径測定の際に、製品自体の不具合(バリやゴミ付着など)を含めて境界を検出してしまうことで、算出される寸法値に影響が出てしまう(装置照明の設定方法にて境界線の見え方を変えることで、測定エラーをなくせないか)
NEXIVは照明の当て方をボタン操作でいろいろと試せるので、便利なプログラムである。
*精度よく寸法測定をするプログラムを作成するためには、製品の置き方、治具の材質、照明の使い方を自分でうまく設定する必要がある。
相談内容2
半透明製品では、プログラム測定用の製品設置治具をアクリル製にしているため、測定できるように照明設定をしているが、治具自体で光が反射してしまい製品境界がとりにくくなる場合がある
シルエット(外径)をとるなら背景照明、内径をとるなら落射照明を使用するのが基本。
相談内容3
測定箇所によって、照明の当て方を変えないとうまく測定ができないがその照明の使用方法が手探りでの設定になっていて、試行錯誤が多い。(落射/透過照明の他にも、リング照明が必要な場合どこの位置をONにするか、など)
どうしてもトライアンドエラーは避けられないかもしれなが、経験を積むことで感覚をつかめば設定の時短は可能。
装置照明の照度設定値変化による測定への影響の例
透明製品では特に明るく変更したほうがエッジ検出が正確になっていることが判る。
相談の結果と感想
①相談事、悩み事に対してのアドバイス内容
NEXIVの機能内でのアプローチの他に、置き方や照明の当て方、治具など外的要因の方面からも工夫してみるとよいのではないかと意見をいただきました。
また、外寸は透過、内寸は落射(+リング照明)など照明選びの指針も教えていただけたので、今後のプログラム作成に活用していきたいです。
②アドバイスを受けて、どのような知見が得られたか、もしくは今後どのように活用できそうか
手探りでプログラム作成を行っている中で、今回設定に悩む照明関係について「最初に試すものが決められた」ことだけでもかなりの進歩なので、製品の測定したい項目に合わせて照明や治具などを工夫しつつ、見やすい状態を作れるようにチャレンジしていこうと思います。
③技術相談会へ参加しての感想
質問内容に対して自分の持っている知識や経験が少なく、内容を理解できるか不安でしたが、初心者でもわかるようにご説明していただけて、非常に学びの多い時間となりました。
ありがとうございました。
最後に
いかがでしょうか、技術相談会のイメージを持っていただけましたでしょうか?
現在は担当者一人で相談会へ参加する仕組みでしたが、今後は複数人参加型のディスカッション方式での相談会も計画していく予定です。
弊社の得意とするQCサークル活動(MK活動)やプロジェクト活動などではメンバーだけでは対応しきれない問題が発生することもあります。
そのような時にメンバーと一緒に相談会へ参加しディスカッションを繰り広げることで、さらなる技術課題解決に繋げていくことが出来ると考えています。
日浦教授にはいつもご貴重な時間を頂戴し、たくさんのアドバイスをいただきありがとうございます。
次回もよろしくお願いいたします。
Writer:あこもこ