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サステナブル マテリアル展とセルロースナノファイバー開発

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サステナブル マテリアル展とセルロースナノファイバー開発

セルロースナノファイバーの利活用

2021/12/8~10に幕張メッセで行われていた展示会、サステナブルマテリアル展に情報収集のため行ってきました。

サステナブルマテリアル展

「サステナブル マテリアル」直訳すると「持続可能な資源」に関する展示会ということで、そのテーマに沿ったブースが集まっており、多くの人が訪れていました。

植物由来リサイクルバイオマスセルロースナノファイバーSDGs等が、環境配慮に関連するキーワードとして多く用いられていました。
その中でも、セルロースナノファイバーを展示されているブースが多く見られました。

 

セルロースナノファイバーとは?

セルロースナノファイバーとはどのようなものか、ご存知ですか?
セルロースは食物繊維として、ナノファイバーはカーボンナノファイバーなどの先行技術として、それぞれは耳慣れた言葉かと思います。
ではセルロースナノファイバーは?食物繊維のすごく細かいの??とイメージして頂ければ、概ね正解です!
環境省から今年3月に出された「脱炭素・循環経済の実現に向けた セルロースナノファイバー 利活用ガイドライン」では、以下のように説明されており、その製造方法がわかりやすくまとめられています。
「脱炭素・循環経済の実現に向けた セルロースナノファイバー 利活用ガイドライン」

https://www.env.go.jp/earth/earth/ondanka/cnf/guideline_main.pdf


セルロースナノファイバー(以下、CNF)は、植物を原料とする素材であり、木材などから化学的・機械的処理により取り出した直径数~数十ナノメートルの繊維状物質で、高い比表面積を有しており、軽量でありながら高い強度や弾性率を持つ素材として、様々な基盤素材への活用が期待される素材です。
セルロースナノファイバー(CFN)製造の概略図

セルロースナノファイバー製造の概略図(セルロースナノファイバー 利活用ガイドラインより)

 

 

そして、その特徴と環境側面等で期待される効果については以下のようにまとめられています。

CNFの特徴と環境側面等で期待される効果

  • 計量・高強度:構造材用途への利用によるエネルギーの消費・CO2の削減
  • 植物由来:従来素材(プラスチック等)の代替によるCO2削減
  • 高リサイクル性:リサイクル性の向上による循環経済の実現への貢献
  • 国内森林資源から調達:国内の森林保全・CO2吸収減対策への貢献
  • 新素材:設備、人材、技術等を活用した地域産業の創出が可能

ここまでで、CNFは軽くて強くて、環境に配慮した材料ということは何となくわかるかと思います。
では用途は?どんな風に使われる(ことが想定されている)のか?というと、よく比較対象として用いられるのが、炭素繊維やガラス繊維などの補強材料です。
それらは、鉄やアルミの代わりとして、自動車や建材、船舶などの分野で樹脂と複合されて使われていいます。
CNFはそれらよりも軽く、リサイクル性が良く、環境に配慮した材料であるため、その利活用が期待されています。

 

今更かもしれませんが…

なぜ今頃になってセルロース?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。というのも、セルロースは世界初のプラスチックと言われるセルロイドや、身近なところでは紙やティッシュペーパー、セロハンテープなどの原料であり、研究対象としても、原材料としても特に新しいものではないからです。

セルロースは、木や草など身近なところに無尽蔵にある原材料として古くからその活用方法や高機能化が研究されてきました。セルロースは細かい繊維の集まりで、その結束が強いために丈夫なのですが、その強さ故に熱をかけても溶けるわけではなく燃えてしまう、特殊な溶媒にしか溶けない、何かと混ぜようとしても均一に混ざらない、加工性を向上させるために機能化させても用途が限られる、コストに見合わないなど様々な課題があり、長らく大きな動きが見られませんでした。

近年、セルロースの繊維を解きほぐす技術と、木材の強度を向上させるための研究が結びつき、セルロースナノファイバーとしてその研究開発が加速するようになりました。
日本では、農林水産省、文部科学省、経済産業省、環境省が連携してCNFの利活用を後押ししており、その普及のシナリオとして以下のようなロードマップも作成されています。

脱炭素・循環経済の実現に向けたセルロースナノファイバーの市場及び技術動向調査2019年度成果報告書

出典 「脱炭素・循環経済の実現に向けた セルロースナノファイバー 利活用ガイドライン」

 

今はまだコストが合わない、安定供給が難しいなどの課題があるCNFではありますが、近い将来私たちの生活に無くてはならない材料になるのかもしれません。
アスカカンパニ―では、CNFを添加するとどうなるのか、どのようなメリット・デメリットがあるのかなど、環境に配慮した材料であるCNFの活用を目指し、試作評価を進めて参ります。
その試作結果などは随時、ブログにてお知らせできればと考えておりますので、その際はまた目を通して頂けましたら幸いです。

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