モノマテリアルとは?
突然ですが、「モノマテリアル」という言葉を耳にされたことはありますか?
「モノマテリアル」は「単一素材」という意味で、特に包装材料を扱う業界で近年よく使われるようになった言葉です。
包装材料と聞いて、どのようなものを思い浮かべますか?
包装材料は何かを包む材料のことを指し、イメージしやすい包装紙、紙箱、緩衝材以外にも飲食品の包材も含まれ、食品トレイ、PETボトル、ハムなどの食品を包装しているフィルムなど多岐に渡ります。
ではなぜ、包装材料に「モノマテリアル」という言葉が使われるようになったのでしょうか?
☆家庭から出るごみの内訳は?
ではここで、家庭から出るごみの内訳について見てみましょう!
容積比率グラフ:環境省/容器包装廃棄物の使用・排出実態調査の概要(令和2年度)より
ゴミの容積半分以上を容器包装が占め、更に容器包装の大部分がプラスチックなのです。
皆さんの家庭から出るごみをイメージしてみてください。
お弁当、野菜、肉、果物、お菓子など飲食料品を消費すると、必ずと言っていいほどプラスチックから成る包装材料がごみとして出てくるのではないでしょうか。
☆プラスチックごみはどう処理されている?
それらのプラスチックごみはどのように処理されているのかというと・・・
熱エネルギー回収には、廃棄物発電、燃料化、熱利用などがあり、その大半は焼却してその熱を有効活用する方法です。
つまり、プラスチックとしてリサイクルされているのは1/4に満たないということになります。
そのプラスチック⇒プラスチックへのリサイクルを進めるための取り組みの一つが、「モノマテリアル」化なのです。
プラスチックのリサイクルの現状
プラスチック⇒プラスチックへのリサイクルが難しいとされるのは、そのリサイクルに膨大なエネルギーを要したり、コストが見合わなかったりと課題があるのですが、それ以前に『プラスチックの分別回収が難しい』という現実があります。
PETボトル(キャップ)、発泡トレーなどは同じ種類のプラスチックで作られているので、分別回収しやすく、そのリサイクル方法がほぼ確立されています。
それは逆に言うと、同じ種類のプラスチックとして分別回収できないと、リサイクルが難しいということになります。
容器包装には、ポリプロピレン、ポリエチレンがよく用いられていますが、それ以外にも様々なプラスチックが使われており、中には1枚のフィルムやシートに見えても「実は7層構造になっています」というようなものもごく身近にあります。
初見でこれはポリプロピレンで、これはポリエチレンなんて見分けることはほぼ不可能に近いです。
さすがに7層構造になっているものを1層1層剝がして分別する、などということは無理な話です。
そこで、考えられたのが「モノマテリアル」化、単一素材化なのです。
では、そもそもなぜ7層など多層構造にする必要があるのか?ですが、それは内容物の品質を守るための保護機能であったり、消費者が快適に保存、使用できるようにするためのニーズを実現するための機能であったりと1層ごとに明確な目的をもって構成されています。
そのような複雑なもののモノマテリアル化を実現されている事例が、いくつか発表されています。
モノマテリアル化だからと言って単層になっているのではなく、必要な機能を満足できるように多層構成でありながら、ベース材料として同じプラスチックを用いられています。
詳細についてご興味がある方は検索頂ければと思います。
射出成形業界でも・・・
私たち、アスカカンパニーが生産する、射出成形業界でも「モノマテリアル」という言葉を耳にするようになりました。
リサイクル適性を上げるためにできることとして、例えば容器とキャップを同じプラスチックにできないか?
パウチ容器の袋部分とスパウト部分を同じプラスチックにできないか?
などニーズは様々です。
今春にはプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の施行も控えており、リサイクルに対する意識はより高まっていくと予測されます。
私たちアスカカンパニーにおいても、環境への配慮について今できる事、やるべき事をしっかりと考えながら引き続き取り組んで参ります。