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アスカカンパニーのクリーンルーム運用と清浄度クラスについて

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アスカカンパニーのクリーンルーム運用と清浄度クラスについて

アスカカンパニーでは、プラスチック成形における品質確保のため、各工場にバイオロジカルクリーンルームを導入しています。
成形作業は基本的にすべてこのクリーンルーム内で実施され、異物混入を防ぎ、より高い品質水準の維持に努めています。

クリーンルームの清浄度規格とは?

現在、クリーンルームの清浄度評価には、国際的に統一された ISO 14644-1規格 が主に使用されます。
ISO規格では、1m³あたりに存在する0.1µm以上の粒子数に基づき、Class1〜Class9に分類されます。
数字が小さいほど空気がよりクリーンであり、必要な設備・運用コストも高額になります。
一方で、業界によっては、従来から用いられてきた 米国連邦規格(Fed.Std-209D) を現在も採用しているケースもあります。
こちらは 1立方フィート中の0.5µm以上の粒子数でクラス分けされる方式です。

清浄度クラスの基準値

下記は、ISO規格と米国連邦規格の対応表です。

清浄度クラス 上限濃度(個/m3)
ISO規格 米国連邦規格 測定粒径
14644-1 Fed.Std-209D 0.1 µm 0.2 µm 0.3 µm 0.5 µm 1 µm 5 µm
Class1 10
Class2 100 24 10
Class3 クラス1 1,000 237 102 35
Class4 クラス10 10,000 2,370 1,020 352 83
Class5 クラス100 100,000 23,700 10,200 3,520 832
Class6 クラス1000 1,000,000 237,000 102,000 35,200 8,320 293
Class7 クラス10000 352,000 83,200 2,930
Class8 クラス100000 3,520,000 832,000 29,300
Class9 クラス1000000 35,200,000 8,320,000 293,000

※米国連邦規格:1 立法フィート(1 ft³)中に含まれる粒径0.5µm以上の微小粒子数

ISO Class1~5:精密半導体、ナノデバイス、医薬品無菌製造など、高度な清浄度を要求する領域
Class6〜8:一般的な医薬品・食品製造、精密組立、工業用途など
Class9:一般的な室内環境レベル
求められる清浄度クラスは、産業分野、製品特性、生産性、品質要求などに応じて適切に選択されます。

業界ごとの適用例と必要な対策

清浄度クラスは用途によって概ね以下のように使い分けられます。

  • Class1〜2:半導体製造の最先端領域
  • Class3〜5:医薬品無菌工程、精密電子機器、IC製造など
  • Class6〜7:医療機器や食品製造ライン
  • Class8:一般的な工場のクリーンルーム

必要な対策もクラスによって異なり、例えば Class5 では高度な浮遊粒子管理や陽圧管理が求められる一方、Class8 では主に 防塵・防虫 といった異物対策が中心となります。

清浄度クラスと適用領域と管理対象

清浄度クラス 適用例
(産業・分野)
適用・対策
ISO規格 米国連邦規格
14644-1 Fed.Std-209
Class1 半導体製造の最高精密領域 ハイレベルな塵埃管理
Class2 ナノテクノロジーや極微細デバイスの製造
Class3 クラス1 高精密な半導体や医薬品の製造
Class4 クラス10 精密電子機器や医薬品製造
Class5 クラス100 医薬品や食品の無菌製造、IC製造 高精度製品への対応と品質管理
Class6 クラス1000 一般的な製薬工場、食品製造ライン
Class7 クラス10000 製薬や食品製造、医療機器の組み立て
Class8 クラス100000 一般的なクリーンルーム 防塵、防虫対策など
Class9 クラス1000000 日常的な室内環境 -

アスカカンパニーの成形エリアと産業検査薬エリアの清浄度レベル

アスカカンパニーのプラスチック成形エリアは、主に ISO Class8(クラス100,000) に相当するクリーンルーム設計となっています。
これにより、防塵・防虫対策を徹底し、異物混入リスクを抑えたクリーン環境で生産を行っています。
新たな事業領域である産業用検査薬の製造では、より高い清浄度が要求されるため、ISO Class5(クラス100) の環境を実現する設備を導入しました。
無菌性が求められる製品に対応するため、より高度な粒子管理・環境管理を行い、品質確保を徹底しています。

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