リサイクルがしやすい『全てPETで出来たスパウトパウチ』にトライ中です
2023年3月に公開したブログ『PETスパウトパウチを作成しました』にて、弊社が開発・評価に取り組んでいるモノマテリアル化事業「PETスパウト」についてご紹介しました。 モノマテリアルとスパウトパウチの現状 アスカカンパニーではスパウトパウチ容器のスパウトやキャップを開発から生産までワンストップサービスでご提供しています。 スパウトパウチはボトル容器と比較すると樹脂の ...
PETスパウトパウチを作成しました
弊社では、スパウトの原料は通常PE(ポリエチレン)樹脂で成形されるところを、PET樹脂に置き換えて成形テストを実施しています。
このPETスパウトを、PETシートメーカー様が試作しているPETパウチと溶着させ、リサイクル可能なモノマテリアル製品の「PETスパウトパウチ」を試作しました。
前回のブログで、「一般的なパウチと比較すると溶着強度が足りていない」という課題を挙げていました。
今回は、この溶着強度などの評価の部分に焦点を当ててみたいと思います。
スパウトパウチに求められることとしては、
- パウチ単体の溶着(底面と側面)が容易に剥がれないこと、破袋しないこと
- スパウトとパウチの溶着が容易に剥がれないこと
の2つがあります。
これらの品質を満たさなければ、開発を進めることはできません。
見た目では溶着がしっかり行われているように見えても、実際に内容物が入った場合、持ち運び時に圧縮されたり、開栓時に溶着部が引っ張られたりすることで破れてしまう可能性があります。
確認のため、評価を実施しました。
1. パウチ単体の溶着について
スパウトパウチに求められることの一つ目『パウチ単体の溶着(底面と側面)が容易に剥がれないこと、破袋しないこと』について。
内容物を入れた状態での落下テストを行った結果、破袋が発生してしまいました。
この問題は、PETスパウトとPETパウチの溶着がうまく行われていないことが要因と考えられます。
PETシートメーカー様で異なるフィルムを組み合わせて強度向上を試みていますが、多くの課題が残されています。
2. スパウトとパウチの溶着部について
スパウトパウチに求められることの2つ目『スパウトとパウチの溶着が容易に剥がれないこと』については溶着部の剥離強度を確認しました。
一般的に市場で見られるスパウトパウチ製品のスパウトとパウチの溶着部剥離強度は、少なくとも50N以上の強度を持っていることが調査にて判明しています。
しかし今回作成したPETスパウトパウチは15〜30N程度の低い強度で剥離が発生してしまうものでした。
そのため、現状のままでは通常の使用や輸送中の圧力に耐えられない可能性があります。
こちらもまだ改善の余地が残されていることがわかりました。
PETスパウトパウチの開発は一筋縄ではいかないことが多く、実使用に耐えられるレベルの強度を保証することに苦戦しており、まだまだ時間はかかりそうです。
引き続き検証と評価を行っていきます。
writer:パワー