PLA樹脂(ポリ乳酸)とは?
PLA樹脂とはトウモロコシやサトウキビなどの植物を原料とするバイオマス由来の生分解性プラスチックです。
PLAは土中の微生物によって分解され、やがては水と、カーボンニュートラルとして二酸化炭素に還る特徴があり、カトラリーや農業用資材として用いられています。
また、生体吸収性があり硬い樹脂であることから、骨の固定材として医療現場で使用されたり、繊維に加工できることから衣料材料として使用されたりするなど、近年注目を集めている材料です。
今回、長瀬産業株式会社様からDenapolymer BPU100シリーズのPLA樹脂(開発品)をご紹介頂きました。
早速ご紹介頂いたものを使って試作をしてみました!
今回試作のPLAについて
過去の背景として、基本的にPLAは110℃付近で硬さを発現するための結晶化が促進されまが、汎用樹脂の成形を得意とする弊社にはそれに対応した設備がありません。
そのためPLAの良さをうまく引き出せず
- すぐにポキポキ折れるものしかできない
- 成形に時間がかかる(結晶化に時間がかかる)
- 汎用樹脂向けの金型では流動性の兼ね合いで良品が採取できない
と課題が山積でした。
今回使用した樹脂はBPU100-TA50B。
結晶化を促進するためのフィラーを高濃度に入れることに成功したとのことで、比較的低い型温、短時間でも成形出来るものとしてご紹介頂きました。
ペレットは淡い灰色のような色味をしています。
手触りはカサカサして紙質感のあるような感じ。
いざ成形!
実際に成形してみると、金型温度20度、成形時間も汎用樹脂と同程度の条件で連続成形することができました。
実際の成形サンプルがこちら。
自然をイメージしたような優しいベージュ色のスプーンが出来ました!
単量はPP成形品と比べて約2倍。手に取った時に重厚感を感じます。
できた成形品の品質は!?
この成形品で曲げ強度の測定を行いました。
曲げ強度試験とは、スプーンの実使用に耐えられるかを評価するものであり、今回は120°まで曲げた時にかかる最大の強度を測定し、その時に折れるか折れないかを観察しました。
その結果、汎用樹脂(PP)に比べて約1.4倍の強度になっていました!
ここで補足ですが・・・・
曲げ強度評価で120°では折れなかったこのスプーン、さらに手で120°以上になるように折り曲げていくと・・・なんとポキンと折れてしまいます。
悪意を持ってスプーンを曲げないで頂きますようお願いします。
今回ご紹介させて頂きました成形品について、長瀬産業株式会社様のホームページにも掲載して頂きましたので、ぜひご覧ください!
アスカカンパニーは今後も環境に配慮した新しい材料について情報収集と試作評価を積極的に実施して参りますので、引き続きお付き合い頂けましたら幸いです。