たとえば店頭で同じような化粧品や日用品が並んでいるとき、パッケージのデザインや素材が購入の決め手になった経験はないでしょうか。
環境配慮型パッケージは、地球環境への負荷を減らすだけでなく、ブランドの印象を左右する重要な要素になっています。
本記事では、環境配慮型パッケージの基本的な考え方から、導入が求められる背景、得られるメリット、代表的な素材や手法までを解説します。自社の商品に合ったパッケージを選ぶ際のポイントもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
環境配慮型パッケージとは?
環境配慮型パッケージとは、内容物を保護し、使いやすくするという本来の機能を保ちながら、廃棄物や資源消費を抑える工夫を取り入れたパッケージのことです。
素材を減らす、再利用しやすくする、リサイクルしやすい設計にするなど、さまざまなアプローチがあります。
近年は大手企業だけでなく、中堅規模の企業でも環境配慮型パッケージへの関心が高まっています。
「ESG経営」の広がりとともに、環境への取り組みが企業の信頼性を測るひとつの指標になりつつあるためです。
ESG経営とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの観点を重視する企業経営手法を指します。
パッケージを見直すことは、コスト面での負担がある一方で、ブランドの姿勢を伝える機会にもなります。
見たことある?エコマークとは
環境配慮型の商品やサービスには「エコマーク」が付けられていることがあります。
エコマークは、公益財団法人日本環境協会エコマーク事務局が運営する環境ラベルで、原材料の調達から廃棄までのライフサイクル全体を評価したうえで認定されます。
エコマークの取得は、第三者機関による客観的な基準にもとづく認定を受けていることを示すため、企業にとっては環境への取り組みを消費者にわかりやすく伝える手段になります。
パッケージにエコマークを表示することで、環境配慮の姿勢を客観的に証明できる点が大きなメリットです。
出典:公益財団法人 日本環境協会エコマーク事務局「エコマークについて」
環境配慮とSDGsの関係
環境配慮型パッケージは、持続可能な開発目標であるSDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」と直結するテーマです。それだけでなく、プラスチックごみによる海洋汚染は目標14「海の豊かさを守ろう」に、資源の消費や焼却によるCO2排出は目標13「気候変動に具体的な対策を」にも関わっています。
SDGsには、環境問題を経済や社会活動の土台にある課題として位置づける考え方があります。環境という基盤がなければ、社会や経済の活動そのものが成り立たないという考え方です。パッケージの環境配慮は、企業活動を続けるための前提条件だととらえることもできるでしょう。
環境配慮型パッケージの導入が求められる背景
なぜ今、多くの企業がパッケージの環境配慮化に取り組んでいるのでしょうか。その背景には、地球規模で進む3つの課題があります。順番に見ていきましょう。
地球温暖化の進行
プラスチックの多くは石油を原料としており、焼却する際に二酸化炭素を排出します。
地球温暖化が進むなか、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、企業にも脱炭素化への対応が求められるようになりました。
パッケージに使用するプラスチックの量を見直すことは、企業の脱炭素経営の一環としても位置づけられます。
天然資源の枯渇
プラスチックの原料である石油は、有限な資源です。
資源エネルギー庁のデータをもとにすると、石油の可採年数はおよそ50年とされています。
限られた資源を使い続けることは、いわば貯金を取り崩しながら暮らすようなものです。
資源の枯渇が近づけば、原料価格の高騰という形で企業の経営リスクに直結する可能性もあります。
パッケージの素材を見直すことは、将来のコストリスクへの備えにもつながります。
出典:経済産業省資源エネルギー庁「エネルギー動向(2026年版)PDF版 第2章 国際エネルギー動向」
ごみ処理能力の限界
ごみを埋め立てる最終処分場にも限りがあります。
環境省の発表によると、令和6年度末時点の一般廃棄物最終処分場の残余年数は、全国平均で24.9年です。
現在のペースで埋め立てが続けば、約25年で処分場が満杯になる計算です。
海外への廃プラスチックの輸出規制が強まっていることもあり、国内で資源を循環させる仕組みづくりは、もはや避けて通れない課題になっています。
出典:環境省「一般廃棄物処理事業実態調査の結果(令和6年度)について」
環境配慮型パッケージを導入するメリット
環境配慮型パッケージへの切り替えは、コスト増をともなう場合もありますが、それを上回る効果を企業にもたらします。ここでは、代表的な3つのメリットを紹介します。
企業としての社会的責任を果たせる
製造した製品が廃棄されるまで責任を負う「拡大生産者責任」という考え方が広がるなか、パッケージの環境配慮は、現代の企業にとって欠かせない取り組みになっています。義務感からではなく、社会の一員としての誠実な姿勢を示す機会としてとらえることもできるでしょう。
企業のブランドイメージを向上させられる
環境配慮型パッケージは、いわばブランドの顔として、消費者に好印象を与える存在です。
同じような機能や価格帯の商品が並んでいる場面では、パッケージの見た目や素材そのものが、選ばれる決め手になることもあります。
環境への配慮を積み重ねていくことは、消費者からの支持や信頼を得るきっかけになります。
下の記事では、クリーンビューティーについて解説しています。
注目される背景やコスメを選ぶ際の具体的なポイントも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
-
-
クリーンビューティーとは?意味や注目される背景・コスメ選びのポイントを解説
近年、化粧品業界では「クリーンビューティー」という言葉が注目を集めています。 環境への配慮が重視されるなかで、化粧品の開発にも新しい視点が求められるようになりました。 しかし、クリーンビューティーには ...
ビジネスチャンス拡大のきっかけになる
国や自治体が環境負荷の少ない製品を優先的に購入する「グリーン購入法」の対象となるなど、環境配慮型パッケージは新たな取引の入り口にもなります。同じ価値観を持つ企業との連携など、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性があることも、メリットのひとつです。また、ESGを重視する投資家や取引先からの評価にもつながり、資金調達や受注の面で有利に働く可能性もあります。
環境配慮型パッケージの例
環境配慮型パッケージには、素材の選択から構造の工夫まで、さまざまなアプローチがあります。
自社の商品に合った方法を選ぶために、代表的な例を見ていきましょう。
環境にやさしい素材を選ぶ
素材そのものを見直すことは、環境配慮の基本的な手段です。それぞれの素材が環境にどのように貢献するのかを押さえておくと、比較検討がしやすくなります。
再生紙
再生紙は、使用済みの古紙を回収して再生した紙です。
古紙という資源を有効活用できるため、森林資源への負荷を抑えられます。
FSC認証紙
FSC認証紙は、適切に管理された森林に由来する原材料から生産されたことが認められた紙です。
認証を取得した森林から調達されているという裏付けがあるため、素材としての信頼性が高いといえます。
再生プラスチック
再生プラスチックは、使用済みのプラスチックを原料として作られた素材です。
新たに採掘した石油を原料とするプラスチックと比べて、石油資源の消費を抑えられる点が特徴です。
-
-
マテリアルリサイクルに挑戦中!
社内で行うマテリアルリサイクルの『プレコンシューマー材』の取り組みを続けています このプレコンシューマ材を積極的に活用し、アスカカンパニーの製品としてご提供できるようにしようという取り組 ...
バイオマスプラスチック
バイオマスプラスチックは、トウモロコシやサトウキビなどの植物由来の原料から作られたプラスチックです。
成長過程で二酸化炭素を吸収した植物が原料になっているため、燃焼時に二酸化炭素を排出しても、カーボンニュートラルの考え方に沿った素材とされています。
代表的な例が、サトウキビ由来のバイオポリエチレンです。
従来の石油由来のポリエチレンと同等の品質を保ちながら、既存のリサイクルルートでリサイクルできる点が特徴です。
こうした環境に配慮した原料であることを客観的に示す方法のひとつが、ISCC認証です。
サステナブルな原料調達や温室効果ガス排出削減、原料から最終製品までの流れを追跡できるようにすることなどを目的として、2010年にドイツで設立された国際的な認証制度です。
認証を取得した原料を採用することで、環境への配慮を客観的に示せます。
-
-
ISCC PLUS認証とマスバランス方式について
生分解性プラスチック
生分解性プラスチックは、微生物の働きによって最終的に水や二酸化炭素などに分解される素材です。
海洋汚染対策としても注目されており、分解されるという性質の点で従来のプラスチックとは異なる役割を担っています。
-
-
海洋生分解性バイオマスプラスチック開発プラットフォーム参画のその後1
MBBPとアスカカンパニーの現状は? 昨年11月に海洋生分解性バイオマスプラスチック(以下MBBP)開発プラットフォームに参画しました!とHPにUP(HPリンク)させて頂いてから3か月が経ちました。 ...
容器を薄く・軽くする
容器そのものを薄く、軽くすることも、リデュースの基本的な考え方です。
使用する原材料の量を減らせるだけでなく、重量が軽くなることで、輸送時の二酸化炭素排出量の削減にもつながります。強度を保ちながら厚みを抑えるには、設計面での工夫が求められます。
パッケージに占めるプラスチックの割合を減らす
プラスチックを完全になくすことが難しい場合でも、紙との複合素材を採用するなど、パッケージ全体に占めるプラスチックの割合を抑える「減プラ」というアプローチがあります。防水性などの必要な機能を保ちながら環境負荷を下げられる、現実的な選択肢のひとつです。
容器を詰め替えから付け替えへシフトする
容器を使い切るたびに中身だけを詰め替える方法に加えて、注ぎ口ごと新しいパウチに付け替える方法も広がっています。
詰め替えのたびに中身を移し替える手間がなく、こぼれや液だれの発生も抑えられるため、衛生面でも安心です。
アスカカンパニー株式会社のASシリーズでは、AS18やAS26.5といった、プッシュポンプやスプレーノズルに対応した付け替え用パーツを展開しており、ボトル容器と比べてプラスチック使用量を80%以上削減できます。ポンプ部分を付け替えるだけで作業が完了するため、使いやすさと環境性能を両立できる点も大きな特徴です。
-
-
スパウトパウチの『付け替え』をお勧めする理由
アスカカンパニーのスパウト製品は『付け替え』に対応しています アスカカンパニーではスパウトパウチの活用を盛んにお伝えしています。 スパウトパウチは3Rのリデュース(プラスチック使用量を少なくする)に対 ...
リターナブル容器を選ぶ
リターナブル容器は、使用後に回収し、洗浄したうえで繰り返し使用する容器です。
デポジット制度などの仕組みを取り入れることで、消費者に容器を返却してもらう動機づけになり、リピーターの獲得につながるというビジネス上の側面もあります。
【独自アンケート】環境配慮型パッケージを意識的に選ぶ人の割合
ここまで紹介してきたように、素材や構造を工夫する取り組みは各社で広がっています。では実際に、消費者はパッケージの環境配慮をどの程度意識して商品を選んでいるのでしょうか。
そこで、株式会社NEXERとアスカカンパニー株式会社は、全国の男女500人を対象に独自アンケート調査を実施しました。
「化粧品や日用品を購入する際、パッケージの『環境への配慮(プラスチック削減、リサイクル素材の使用など)』を意識して商品を選んだことはありますか?」という質問に対し「何度もある」「一度はある」と回答した人の合計は約34%でした。
「その理由を教えてください」という質問への回答では、環境への配慮そのものを重視する声のほか、価格や使いやすさを優先するという声も見られました。
単に「エコだから」という理由だけで購入が決まるわけではなく、価格や機能性とのバランスのなかで選択されている実態がうかがえます。
この傾向は、別の設問の結果からも裏付けられます。
環境対応が進んでいる製品を選ぶ際に、エコであることだけでなく、使いやすさとの両立が重要だと回答した人は約79%にのぼりました。
環境配慮だけを追求したパッケージでは支持を得にくく、機能性やデザイン性とのバランスが欠かせないといえるでしょう。
-
-
環境配慮型パッケージとは?求められる背景や導入メリット、素材・手法の例を解説
たとえば店頭で同じような化粧品や日用品が並んでいるとき、パッケージのデザインや素材が購入の決め手になった経験はないでしょうか。 環境配慮型パッケージは、地球環境への負荷を減らすだけでなく、ブランドの印 ...
【素材別】パッケージや容器のリサイクルの現状
自社が採用すべき素材の方向性を考えるうえで、それぞれの素材が現在どの程度リサイクルされているのかを把握しておくことも大切です。
数値だけでなく、課題まであわせて見ていきましょう。
紙
紙のリサイクルは、古紙を回収して再生する仕組みが広く浸透しています。
回収率は高い水準を維持しているものの、禁忌品と呼ばれる紙以外の異物が混入することで、再生紙の品質が低下するという課題も残っています。
出典:公益財団法人 古紙再生促進センター「数字で見る古紙再生」
プラスチック
プラスチックは、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、熱回収を行うサーマルリサイクルの3つの方法で有効利用されています。
2024年の有効利用率は約89%で、その内訳はマテリアルリサイクルが19.7%、ケミカルリサイクルが2.5%、サーマルリサイクルが66.7%です。
なお、日本と欧州では、焼却時の熱回収をリサイクル率に含めるかどうかについて、解釈が異なります。
サーマルリサイクルを含めた数値であることを踏まえると、日本の有効利用率の高さをより正確に理解できます。
出典:一般社団法人 プラスチック循環利用協会「2024年廃プラスチック総排出量は911万t、有効利用率は89%」
身近な実例としてよく挙げられるのが、飲料用のPETボトルです。PETボトルリサイクル推進協議会によると、2024年度のPETボトルリサイクル率は85.1%に達し、欧米各国と比較しても世界最高水準を維持しています。なかでも、使用済みPETボトルを新たなPETボトルへと生まれ変わらせる「ボトルtoボトル」と呼ばれる水平リサイクルの比率は、2023年度で33.7%まで上昇しました。業界団体は2030年度までにこの比率を50%以上へ引き上げる目標を掲げており、今後もリサイクル素材の活用が広がっていく見通しです。
出典:PETボトルリサイクル推進協議会「PETボトルリサイクル年次報告書2024」
出典:PETボトルリサイクル推進協議会「リサイクル率の算出」
-
-
PETスパウトパウチを作成しました
モノマテリアルとスパウトパウチの現状 アスカカンパニーではスパウトパウチ容器のスパウトやキャップを開発から生産までワンストップサービスでご提供しています。 スパウトパウチはボトル容器と比較すると樹脂の ...
ガラスびん
ガラスびんは、砕いたガラスであるカレットを原料として再利用する仕組みが確立されています。
なかでも1.8Lびんは、業界による自主回収システムが整えられており、回収率は68.8%です。
出典:リターナブルびんポータルサイト「1.8L壜利用及び回収に関する調査(2025年度実績)集計結果概要」
製品に合った環境配慮型パッケージを選ぶ際のポイント
では、自社の製品にはどのようなパッケージがふさわしいのでしょうか。
環境配慮型パッケージを選ぶ際は、環境負荷の低減だけでなく、機能性やデザイン性、廃棄後まで見据えて検討することが欠かせません。
環境負荷を低減できる素材や製造方法を選ぶ
原料の調達から製造、廃棄までの全工程で環境への影響を評価する、ライフサイクルアセスメントの視点を取り入れると判断しやすくなります。
製造工程でのエネルギー消費や、廃棄時の分別のしやすさまで含めて評価することがポイントです。
製品に合った機能性を持っているか
どれだけ環境に配慮していても、内容物を保護できなければパッケージとしての役割を果たせません。 近年、アスカカンパニーではスパウトパウチ用のキャップ製品のラインアップを着実に増やしております。製品の多様化に伴い、私たちが注力しているのが「品質の数値化」です。お客様に安心してお使いいただける製品を ...
それでは、本末転倒です。
アスカカンパニー株式会社では、内容物の変質を防ぐための溶着テストや、吐出量を調整できる機能性ヒンジキャップの開発など、環境対応と品質の両立に取り組んでいます。
スパウトキャップ開発における品質保証の裏側 ―「自動トルクメーター」活用術―【ASKA MARKET NEWS 2026年9月 379号】
製品の世界観を表現できる質感を選ぶ
環境配慮を重視する場合でも、デザイン性を犠牲にする必要はありません。
バイオマスプラスチックであっても、通常の原料と同等の外観や強度を実現することは可能です。
アスカカンパニー株式会社のAS8.7シリーズで展開されているAS8.7キャップやAS8.7オーバルキャップのように、ブランドカラーへのカスタマイズに対応したデザイン性の高いパーツを選ぶことで、環境配慮と意匠性を両立させたパッケージづくりが可能になります。
廃棄やリサイクルまで考慮されているか
使い終えたあとに、消費者が迷わずリサイクルできるかどうかも重要な視点です。
単一の素材で構成する「モノマテリアル化」や、わかりやすい分別表示の工夫は、廃棄時の負担を減らします。
最後まで責任を持つ設計は、結果としてブランドへの信頼にもつながります。
まとめ
環境配慮型パッケージは、単なる流行ではなく、企業が長く事業を続けていくための生存戦略のひとつになっています。
素材選びや構造の工夫次第で、環境負荷を抑えながら、ブランドの世界観や使いやすさを両立させることも十分に可能です。
アスカカンパニー株式会社のASシリーズは、プラボトルからスパウトパウチへの移行によるプラスチック削減や、付け替えによる簡便性の提供、デザイン性や機能性を重視したキャップ、ブランドカラーに合わせたカスタマイズなど、機能性と意匠性を両立させる技術を数多く備えています。
環境配慮型パッケージの導入や切り替えをご検討の際は、ぜひアスカカンパニー株式会社にご相談ください。
豊富なラインアップとスピーディーな開発体制を生かし、貴社の商品にふさわしいパッケージづくりを全力でサポートいたします。
環境配慮型パッケージに関するご質問やご相談も承っております。
ぜひ下のフォームよりお問い合わせください。






