弊社は、射出成形メーカーとして、持続可能な社会の実現に向けた環境配慮に積極的に取り組んでおります。
昨年、私たちはバイオマスプラスチックを年間86トン使用いたしました。これは、単なる数字以上の意味を持ち、地球温暖化対策への貢献を示しています。
バイオマスプラスチックは、植物由来の再生可能な資源を原料としており、従来の石油由来プラスチックと比較して、製造から廃棄に至るまでのライフサイクル全体でのCO2排出量を大幅に削減する可能性を秘めています。
バイオマスプラスチックを使用した製品例
ASBP16 スパウト BIOシリーズ
通常の見た目と性能のまま、バイオプラを30%、90%以上配合したスパウトシリーズです。 ※サンプルをご希望の際はご連絡ください

ASBP 70カップ用蓋CCI
バイオプラを25%使用した薄肉フタ型の成形品です。一部をバイオマスプラスチックに置き換え、石油由来プラの使用量を低減出来ます(25%減少)

CO₂排出量の比較と環境負荷低減効果
プラスチック製品は私たちの生活に欠かせない一方で、環境への影響、とりわけCO₂排出量が大きな課題となっています。
ここでは、石油由来のプラスチックとバイオマスプラスチックの排出量を比較し、「カーボンニュートラル」の考え方を踏まえて環境負荷低減の可能性を考えます。
石油由来プラスチック(ナフサ由来)のCO₂排出量
石油から得られるナフサを原料としたプラスチックは、従来から最も広く利用されている素材です。しかし、その製造過程では多くの化石燃料を使用するため、CO₂排出量が非常に大きくなります。
日本の一般的なデータでは、ナフサからプラスチックを製造する際のCO₂排出係数は、プラスチック1トンあたり2.5~3.0トンとされています。
たとえば年間100トンの製造では、CO₂排出量は250~300トンに達します。
バイオマスプラスチックのCO₂排出量
一方、植物由来の資源を活用した「バイオマスプラスチック」は、製造時の排出量を大幅に削減できる素材として注目されています。
バイオマスプラスチックは、植物が光合成によって大気中のCO₂を吸収して成長するため、原料段階でのCO₂排出量は実質的にゼロとみなします。
この考え方を「カーボンニュートラル」と呼びます。
製造プロセスで一定のCO₂排出は発生しますが、それでもナフサ由来の製造プロセスに比べて非常に少ないです。
製造時のCO₂排出係数は、プラスチック1トンあたり約0.5~1.0トンに抑えられます。
また、年間100トンを製造した場合、CO₂排出量は50~100トンにとどまります。
CO₂削減効果の具体例
上記の排出量の説明より、石油由来のプラスチックからバイオマスプラスチック使用した場合約60~80%のCO₂削減効果が見込まれることが分かります。
たとえば、弊社が昨年使用したバイオマスプラスチック86トンを参考に計算すると以下のようになります。
石油由来プラスチック(ナフサ由来)のCO₂排出量(1トンあたり 約2.5~3.0トン)
使用量:86トン × CO₂排出量:2.5~3.0トン = CO₂排出量:215~258トン
バイオマスプラスチックのCO₂排出量(1トンあたり 約0.5~1.0トン)
使用量:86トン × CO₂排出量:0.5~1.0トン = CO₂排出量:43~86トン
CO₂削減量は・・・
215~258 - 43~86 = CO₂削減量:129~172トン
バイオマスプラスチック市場の拡大と弊社の取り組み
弊社のバイオマスプラスチックの利用は、CO₂削減への貢献に直結しています。
近年、世界的な環境意識の高まりを背景に、市場は急速に拡大しており、その製造量も今後さらに増加すると見込まれています。
実際、世界のバイオプラスチック市場は2022年の約345億米ドルから、2032年には931億米ドルへと成長する予測があり、年平均成長率(CAGR)は11.3%に達します。
こうした成長を踏まえると、バイオマスプラスチックはサステナブルな素材としてますます重要性を増すことは明らかです。
弊社もこの持続可能な潮流に歩調を合わせ、今後も積極的に利用を推進してまいります。

Writer:HIDE





