恒温恒湿機を使用した測定事例の紹介
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弊社では様々な環境で取り扱われる製品を開発しておりますが、開発段階で恒温恒湿機や低定温庫で実際に想定される環境を再現して測定を行う場合があります。
今回はそんな実際に使用される温度・湿度環境を想定した開発評価の取り組みについて具体的な事例を交えてご紹介させていただきたいと思います。
まずは恒温恒湿についてです。
そもそも恒温恒湿とは、「温度、湿度共に一定に保っていることであり、 特に製品試験室などに適用される。しかし非常に難しい空調であり、熱交換形換気機器など使用し、 恒温恒湿している。また、このことを特殊空調とも言われる。」(wikipediaより引用)とありますように、温度や湿度を一定に保った状態で品質にどの程度影響があるのかを測定しています。
実際に、恒温恒湿状態と恒温のみで2カ月保管した後にヒンジ構造をもったキャップの開閉強度の比較を行い、影響がどの程度あるのか評価してみました。
結果としては多湿条件の方が、水蒸気の影響で滑りやすくなるため、ヒンジキャップが嵌合しやすくなり低い開閉強度になる事が分かりました。ヒンジキャップの開閉強度を決めるファクターとしては、キャップを流通する内容物やプラスチック材料は勿論のこと、ノズルとフタとの寸法差、嵌合部の表面状態などがあります。寸法については設計にて狙い寸法を決めていきますが、嵌合部の形状や表面状態については、温度・湿度などの影響が強くなります。温度が変わる事によって、嵌合部の強度に変化が発生し、開閉強度に影響が出ると考えています。冷蔵庫に入れると製品が固くなったりするのは、このことが要因の一つとなります。
以上のことから、弊社では開発段階で開閉強度を測定する際、恒温恒湿状態に製品を保管してからの測定を実施する場合があります。
この測定を通じて、実際に使用環境を再現することで、開発評価段階で品質を作り込みます。測定を行うことで具体的な数値として差を見ることができますので、論理的な開発を進めることが可能です。よくプラスチックは生ものという表現をされる事がありますが、プラスチックは環境の影響をうけやすいため、出来るだけ環境を整えて製品の評価をおこなう事で、正しい評価を行うことで、高い要求品質を達成してまいります。