いつもマーケットニュースをご覧いただきありがとうございます。
今まで様々なシーンでご紹介をさせていただいております『ASスパウトシリーズ』について、最近、冷凍保存したいけど問題無い?
そのような『冷凍』に関する質問を多くいただくので、実際冷凍して評価してみることにしました。
冷凍したスパウトの機能性評価
機能性の評価としては、内容物の漏れが無いことを確認するため、気密性を担保する事が必要です。
気密性を評価する方法としては、いくつか方法がございますが、今回は加圧試験を用いて評価したいと思います。
ASスパウトと比較評価するため、冷凍対応の市販サンプルを購入して測定評価に使用します。
弊社の測定対象は
・AS9.5スパウト(口部内径:φ9.5mm程度)
・AS16スパウト(口部内径:φ16mm程度)です。
比較用に市販品3種を用意しました。
(詳細は控えさせていただきますが、冷凍の飲料用途の製品となります)
気密試験の評価内容
評価項目:気密(加圧)
- スパウトとキャップが嵌合しているサンプルを常温23℃と冷凍-18℃の環境化にて一日静置する。
- サンプルを治具にセットする。
- 0.3MPaで10秒間加圧し、気密漏れの有無を確認する。
評価結果
常温23℃ | |||||
水準 | 市場品A | 市場品B | 市場品C | AS9.5 | AS16 |
1 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
2 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
3 | - | - | - | ○ | ○ |
4 | - | - | - | ○ | ○ |
5 | - | - | - | ○ | ○ |
〈結果〉
・全て漏れない
冷凍-18℃ | |||||
水準 | 市場品A | 市場品B | 市場品C | AS9.5 | AS16 |
1 | × | ○ | × | ○ | ○ |
2 | ○ | ○ | × | ○ | ○ |
3 | - | - | - | ○ | ○ |
4 | - | - | - | ○ | ○ |
5 | - | - | - | ○ | ○ |
・市場品AとCで気密漏れ発生
市場品Aの内容物は固形に近いため、気密性が多少低くても市場での内容物漏れは発生しにくいと推測(0.25MPaまで気密は保つ事で確認)
・市場品Cは0.05MPaで気密漏れ発生(市場品Cは海外輸入品。異物やバリが多い)
測定結果としては、市販の冷凍対応サンプルと比較しても、ASスパウトは気密性が高いことが評価結果から分かります。
冷凍しても強度は大丈夫?
冷凍すると、商品が落下した際にスパウトが割れないか心配があります。
割れ強度に関しては、アスカカンパニーでは社内で開発した『S-Gauge(破壊強度試験機)』にて50%衝撃破壊エネルギーを求める事ができます!
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S-Gaugeは破壊強度を50%破壊エネルギー(J:ジュール)という数値を用いて評価を行っています。
※50%破壊エネルギーとは、測定ワークに対して一定値の破壊エネルギーを与えるとおおよそ50%の確率でワークが割れる値を決定づける方法です。
衝撃試験の評価内容
- スパウトとキャップが嵌合しているサンプルを常温23℃と冷凍-18℃の環境下にて1日静置する
- 衝撃試験機にサンプルをセット(左図参照)
- サンプルに1,000gのおもりを落とし、50%破壊高さ(cm)と50%破壊エネルギー(J)を測定する
50%破壊高さ (cm)とは
サンプルが50%の確率で破壊されると予測される高さ(測定限界:77.5cm)
50%破壊エネルギー(J)とは
サンプルが50%の確率で破壊されると予測されるエネルギー(測定限界:7.6J)
評価結果
常温23℃ | |||||
水準 | 市場品A | 市場品B | 市場品C | AS9.5 | AS16 |
50%破壊高さ(cm) | 77.5 | 77.5 | 77.5 | 77.5 | 77.5 |
50%破壊エネルギー(J) | 7.6 | 7.6 | 7.6 | 7.6 | 7.6 |
- 全て割れないが、変形した
- 割れては無いが、市場品Aはタンパー部の破損が2個発生
- AS9.5はブリッジ切れが1個発生
冷凍-18℃ | |||||
水準 | 市場品A | 市場品B | 市場品C | AS9.5 | AS16 |
50%破壊高さ(cm) | 70.0 | 77.5 | 77.5 | 77.5 | 77.5 |
50%破壊エネルギー(J) | 6.9 | 7.6 | 7.6 | 7.6 | 7.6 |
- 全て変形した
- 市場品Aで割れが発生
- 割れは無いが、市場品BとCとAS9.5はブリッジが切れ発生
- AS16は割れず、タンパー切れも無し
結果としては、冷凍対応の市販品とも遜色ない強度をASスパウトは保有している事が分かりました。
今回は冷凍しても機能的に問題無いか? と言う観点で、弊社で行える測定方法と合わせご紹介しました。
ASスパウトで冷凍用途の使用をご検討されるお客様におかれましては、サンプルをご提供致しますので、改めて評価後に、採用を検討いただきたいと思います。