様々な印刷品を提供しやすい仕組み『デジタル印刷』
弊社では最新技術のサーチに努めています。日々進化を遂げていくプラスチック容器ですが、包装の基本的な役割は、内容物の保護「まもる」、取り扱いの利便性「つかいやすい」、情報の提供「つたえる」とも言われています。
今回は「つたえる」の部分でプラスチック容器の印刷方法、最新のデジタル印刷技術にフォーカスしていきます。
プラスチック容器の印刷方法としては、シルクスクリーン印刷、パッド印刷、ホットスタンプなどがあります。
容器の形状、材質、印刷ロットによって印刷方法を選択しますが、アルミ缶やカップ容器、チューブ容器、カップ麺容器などへの印刷技術ではドライオフセット印刷が古くから確立されています。
ドライオフセット印刷の仕組みは、実際に印刷イメージが作られる版と製品が直接触れないのが特徴です。樹脂性凸版にインキをのせ、そのインキを中間転写体のゴムブランケットに転写(offset)した後、製品に印刷します。通常のオフセット印刷は湿し水を利用しますが、乾式で印刷することからドライオフセットと呼ばれます。
ドライオフセット印刷から進化したものがデジタル印刷技術となります。
デジタル印刷では、版が不要で容器に直接印刷する印刷方式です。製版作業が不要な為、小ロットでの印刷、デザイン変更が非常に容易です。
デジタル印刷の特徴
メリット
- 鮮明なイメージをダイレクト印刷で実現
- デジタル(インクジェット)方式による直接印刷の為、版が不要
⇒デザイン変更が非常に容易でありフレキシブルな生産が可能 - 丸型、楕円型、角型など様々な形状に対応出来る
デメリット
- 1個あたりの製品コストが高額
- 導入設備費用が高額
- 生産スピードが遅い
- インクが高価(印刷機メーカーの指定)
- インクミストの発生が多く、連続運転時に1時間程度の機械の清掃が必要
ドライオフセット印刷の特徴
メリット
印刷スピードが速く、大量生産が可能な為、低価格での提供が出来る
デメリット
印刷スピードが速い為、小ロット生産では不向き
以上より両者を対比すると下のようになります。
イニシャルコスト |
ランニングコスト |
大ロット |
小ロット |
デザイン変更 |
デザインの鮮明さ |
|
デジタル印刷 | 非常に高い | 高い | 不得意 | 得意 | 容易 | 非常に高い |
ドライオフセット印刷 | 高い | 安い | 得意 | 不得意 | 困難 | 高い |
デジタル印刷の優れている点として、写真のカップのような美麗のものを1個ずつデザイン違いで連続生産する事が出来る為、多種のデザインを小ロットで生産する事が可能です。
しかしながら日本企業での導入はまだないようです。日本の市場で考えると導入時のコスト高もさることながら、ランニングコストが高い為採用は難しい技術であると思われます。