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プラスチックリサイクル方法の一つ『マテリアルリサイクル』について

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プラスチックリサイクル方法の一つ『マテリアルリサイクル』について

プラスチックのリサイクル方法には種類がある

マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクル・サーマルリサイクルの3種類があります。

マテリアルリサイクル

マテリアルは英語で「物」という意味で、その名の通り、「物」→「物」へリサイクルされることを言います。

ケミカルリサイクル

ケミカルは英語で「化学的な、化学作用による、化学薬品」等の意味があり、こちらは例えば「物(廃プラ)」から「水素、二酸化炭素」を取り出し、別の物にリサイクル(再活用)されることを言います。

サーマルリサイクル

サーマルは英語で「熱の、暖かい」等の意味がありこちらは、「物」を焼却する際に発する熱エネルギーを有効利用することを言います。

日本での2019年実績では、廃プラスチック総排出量は822万トン内、有効利用廃プラスチック:710万トン(86%)、未利用廃棄プラスチック:112万トン(14%)となっています。
また、リサイクルの内訳としては、マテリアルリサイクル:173万トン(21%)、ケミカルリサイクル:27万トン(3%)、サーマルリサイクル:510万トン(63%)となっています。
サーマルリサイクルの比率が非常に大きいですが、このサーマルリサイクルは欧米基準では『エネルギー回収』といった形でリサイクルとして扱われていません。
サーマルリサイクルは熱やエネルギーとして消費してしまうため、リサイクルという定義は当てはまらないという認識です。
よって、欧米基準による日本のプラスチックリサイクル率は、マテリアルリサイクル(21%)とケミカルリサイクル(3%)を合わせた24%のみとなります。

プラスチックリサイクルの今後

環境省のプラスチック資源循環戦略(概要)における、マイルストーン(指標)の『リユース、リサイクル』では以下のようになっています。

  1. 2025年までにリユース・リサイクル可能なデザインに
  2. 2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクル
  3. 2035年までに使用済みプラスチックを100%リユース・リサイクル等の有効利用。

出展:環境省 プラスチック資源循環戦略(概要)(2021年5月)

リユース・リサイクルでは、物→物に変換するマテリアルリサイクルの推進が重要になってくると考えられます。

 

2022年4月に、この戦略を後押しするためのにプラスチック資源循環促進法が施行されました。

プラスチック資源循環促進法の一部・・・

再資源化を実施することができるものは再資源化を実施すること。
再資源化を実施することができないものであって、熱回収を行うことができるものは、熱回収を行うこと。


「再資源化」は、法律で「使用済プラスチック使用製品又はプラスチック副産物の全部又は一部を部品又は原材料その他製品の一部として利用することができる状態にすること」と定義されています。
つまり、国は、ケミカルリサイクルやマテリアルリサイクルの実施を促しているのです。

では現状はどうなっているかというと、廃プラスチック有効利用率の推移を見ると、過去2000年から有効利用率はほぼ倍増しているように見えますが、サーマルリサイクルの増加と廃プラスチックの総排出量の減少の要因によりそう見えているだけで、マテリアルリサイクルされた量の推移は大きくは増えていないのが実情です。

 

品質によってマテリアルリサイクルは2種類に分けられる

ここからは、サーマルリサイクルに次いで多いリサイクルである、マテリアルリサイクルについて注目してみようと思います。

マテリアルリサイクルは、「レベルマテリアルリサイクル」と「ダウンマテリアルリサイクル」の2種類があります。

レベルマテリアルリサイクル

リサイクル対象を同じ製品の原料として使用することです。
ペットボトル→ペットボトル、食品トレイ→食品トレイ等があります。

ダウンマテリアルリサイクル

同一製品へリサイクルするには品質が担保出来ない場合に適用される、格下げされた品質分野の製品原料として使用することです。
例えば、ペットボトル→衣類等、デザートカップや洗剤ボトル → 公園のベンチ、パレット等があります。

レベルマテリアルリサイクルの難しさ

レベルマテリアルリサイクルをするためには、機能・品質、(食品関係になると衛生面)を担保する必要があり、非常にハードルが高いのが現状です。
また、『ペットボトル→ペットボトル』を例にすると、大量に生産され、透明(同一色)・単一素材で、回収、選別、洗浄等の仕組みが構築されていることがレベルマテリアルリサイクル推進の条件となります。
そのため、マテリアルリサイクルの多くはダウンマテリアルリサイクルとなっているのです。

 

目標を達成するために

国のプラスチック資源循環戦略が示す2035年の使用済みプラスチックを100%リサイクル、リユースを目指すには、今よりもケミカルリサイクルとマテリアルリサイクルを大きく推進していく必要があります。

マテリアルリサイクルを推進していく為には、容器包材のモノマテリアル化(単一素材)や、市場における廃プラスチックの回収方法、安全性の確保等、ハードルの高い課題が多くありますが、プラスチック資源と環境問題の解決に向けて、社会全体で取り組んでいかないといけません。

アスカカンパニーとしても、リユース・リサイクル可能な容器デザイン設計、モノマテリアルを意識した製品企画等、プラスチック加工メーカーとしてできることを考え、取り組むと共に、新たな技術や取り組みの情報収集にも努めて参ります。

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