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バイオプラスチックのトレンド 『マスバランス』とは

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バイオプラスチックのトレンド 『マスバランス』とは

バイオプラスチックとは

最近よく耳にするようになった「バイオプラ」の定義はご存知ですか?
「バイオプラ」(=バイオプラスチック)は「バイオマスプラスチック」と「生分解性プラスチック」の総称です。
イメージとしては下図のようになります。
ちなみに、「バイオマスプラスチック」は石油以外の再生可能な有機資源(植物など)を原料としたプラスチック素材で、 「生分解性プラスチック」は特定の条件の下で微生物などの働きによって分解し、 最終的には二酸化炭素と水にまで変化する性質を持つプラスチック素材です。
バイオプラスチックとバイオマスプラスチック

図で見ると、バイオプラスチックはかなりの量を占めているようにも見えるのですが、その生産量はどうなっているのでしょう?
世界のバイオプラスチック製造能力は、European Bioplastics(欧州バイオプラスチック協会)によるとバイオプラスチックの世界の製造能力は211万トン(2019年)とされています。
その数字だけを聞いても、多いのか少ないのか、ピンときませんよね。

実はこの数字、世界のプラスチック生産量の1%にも満たない数字なのです。

同じくEuropean Bioplasticsによると、世界のバイオプラスチック製造能力2024年には243万トンまで拡大すると推計されています。
その内容として、海洋生分解性プラスチックが13.5万トン、バイオPPが10.9万トンほど増加すると見込まれています。

※環境省 バイオプラスチックを取り巻く 国内外の状況より出典

 

 

バイオプラスチックにもトレンドがあるの?

海洋生分解性プラスチック、バイオPPが増産傾向にあるとお伝えしましたが、なぜそれらが増産されるのか。
バイオプラスチックに今何が求められているのでしょう?
近年、プラスチックが関わる環境問題として海洋プラスチックごみの増加や、マイクロプラスチックの流出などがクローズアップされています。
その解決策として、海洋でゴミとならずに自然に分解する、海洋生分解性樹脂の開発とその社会実装が求められています。
その他にも、カーボンニュートラルの視点から、石油由来の汎用プラスチックを石油由来でなくすこと、つまり、石油以外から作ることが求められています。
では、石油以外からというと何から作ることができるのでしょう?
石油由来のプラスチックとして、生産・消費されているプラスチックのほぼ半量をPEとPPが占めています。
その原料を石油以外で作ろうと、以下のような取り組みが行われています。

  • 発酵法
    サトウキビを原料として、発酵プロセスによりバイオエタノールを生成し、バイオPEを製造(Braskem社)。
  • 化学変換法
    非可食バイオマス原料(パルプ製造プロセスの副生成物、廃食油等)により、石油由来ナフサを部分的に置き換え、クラッキングにより、バイオPE・PPを製造。

その他、元をたどると石油以外から作るとは言い切れませんが、廃プラを原料にしてプラスチックを作る取り組みも行われています。

 

その中でも注目度が高いのは、発酵法による製法を第一世代とするなら、第二世代の製法とされる「廃食用油等を原料とする化学変換法」です。
その方法で生産されたバイオプラスチックの輸入や、バイオナフサのみ輸入して、バイオプラスチックを日本国内で製造しようという動きなど、導入に向けての動きが活発になってきています。

 

 

マスバランス・アプローチとは?

では、第二世代は第一世代と何が異なるのでしょうか?

大きくは以下の3点が挙げられます。

  1. 原料が非可食原料である
  2. プラスチック製造過程で既存の石化設備をそのまま使うことができる
  3. 「マスバランスアプローチ」、「マスバランス方式」での管理を行う

「マスバランスアプローチ」、「マスバランス方式」は耳慣れない言葉ではないでしょうか。
日本語に置き換えると物質収支方式となるのですが、そう表現されてもなかなかピンときません。
この方式は、既にパーム油、紙製品、電力などの業界では取り入れられており、ある特性を持つ原料の投入量に応じて、生産する製品の一部を「その特性を持つ原料だけで生産した」と見なす手法です。
なぜそんなわかりにくいことを?と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、その特性を持つ原料が限られる場合や、安定して確保することが難しい場合にそれを有効活用する方法として考えられた方式です。

今回の第二世代のバイオプラスチックに当てはめて考えると、以下のようなイメージです。

マスバランス方式では、原料として植物由来などの再生可能資源を使った量のみ製品としても取り扱うことができるため、その数字を厳密に管理する必要があります。
製品として出来上がったバイオプラスチックは、石油由来と品質に差異はありません。
例えば既存の石油由来のPPを使った製品に、このマスバランス方式のバイオPPを用いることは取組みやすい環境への配慮になるのではないでしょうか。
とはいえ、まだまだ生産量が少ない(安定調達への不安)、コストが見合わないなどの課題もあり、即採用!とはいかないのも事実です。

アスカカンパニ―では、バイオプラスチックやリサイクルなどの環境に配慮した取組みに関して積極的に情報収集し、ブランドオーナー様と共に社会実装を目指して参ります。

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