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医療現場で使われるピルファープルーフ容器(ASKA MARKET NEWS 2017年9月 第268号)

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医療現場で使われるピルファープルーフ容器(ASKA MARKET NEWS 2017年9月 第268号)

射出成形とシート成形との組み合わせると、新しい容器に

容器の世界では一般的に「ピルファープルーフ」と呼ばれるいたずら防止・改ざん防止機能が付与されたものがあります。
また容器の素材では金属やガラスやプラスチック製のフィルム、シートなど、加工法ではブロー、インジェクションなど様々なものから誕生します。
弊社は射出成形法を得意としていますので、多くの製品は射出成形をもとに開発し提供しています。
ピルファープルーフの一例として医療現場で使用されている弊社が製造する容器があります。
蓋と容器本体の2パーツで構成されています。
いずれも射出成形法により加工されたものです。
この製品をヒントに容器側をシート成形の加工法でアライアンスパートナー企業さまのご協力を得て開発し、試作金型で検証してみました。

シート成形にした際のメリットは、多層シートを採用することで、様々なバリア性を付与することが可能なことです。
また金型費用は射出成形に比べると安価になるので、ご要望の容積の容器設計を行い金型製作コストをセーブできます。デメリットは、寸法精度に加えて、このピルファープルーフ方式では設計上気密シールする部分にわずかながら段差が発生するため、射出成形に比べて密封性能が落ちる可能性があります。

それでは構造の説明に入ります。
蓋には、いたずら防止機能ジッパーがあり、開封時には先ずこれを引きちぎります。
ジッパーが無くなることで蓋と容器本体に隙間が出来ます。
その隙間に指をかけ、蓋を初めて開ける構造になっています。

もう少し解かりやすく説明します。

1.断面形状

容器と蓋がセットされた状態の断面形状です。
ジッパー部が外れていない状態では、A部に指がかからないため、蓋を開封することが出来ません。

 

2.蓋のジッパー部

蓋のジッパー部では、初期開封するために指先をかける部分B部があります。
B部の設計は長さ約1㎜程度の幅で点で連結した連結部Cを6カ所設けています。
B部は流通段階などでは壊れず、指で開封する時には簡単に壊すことが できる形状と強さ加減が求められます。

 

3.ジッパーを取り外した状態

全周ジッパーを取り外した段階で、蓋はある程度回数を繰り返し使用されますのでC部は指に当たっても優しい感触になるよう、素材を含めて鋭くならないことが求められます。

4.樹脂流動解析

樹脂流動解析をすると、連結部C付近に樹脂の合わせ目となるウエルドラインが細かく見受けられます。
連結部Cの強さに影響を及ぼすので、ウェルドラインのコントロールが必要となります。

このような機能の説明は難しく不十分でご理解しにくいところもあったかもしれません。
射出成形法とシート成形法との組み合わせでこのようなピルファープルーフ容器が出来るという開発事例のご紹介でした。
ご興味ございましたら、お問い合わせいただければ幸いです。

 

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